
ノーベル生理学・医学賞を2012年に受賞した京都大学の山中伸弥教授が14日、大阪・関西万博で講演し、iPS細胞の実用化に向け「産業界からの支援が必要だ」と呼びかけた。万博については「(展示をきっかけに)子どもたちに科学に興味を持ってもらいたい。ゆくゆくはサイエンティストになってほしい。それが私がいちばん望んでいることだ」と話した。
ノーベル財団の本部があるスウェーデンの「ナショナルデー」の一環で「iPS細胞研究の進展と応用について」と題して講演した。パーキンソン病の症状をiPS細胞を使って改善させる臨床試験(治験)における成果を紹介し「近い将来、パーキンソン病で苦しむ患者に新しい治療を届けることができるだろう」と述べた。
一方で再生医療や創薬の課題として、資金調達の壁を超えられず学術研究が事業化にいたらないなどの「死の谷」があると指摘した。「技術を学術界から産業界に手渡さなければいけない。iPSのテクノロジーを早く患者に届けたい」と強調した。
ナショナルデーは参加国・地域が日替わりで自国の文化などを紹介するイベント。カール16世グスタフ国王が出席した。韓国のガールズグループ「TWICE」などに楽曲を提供する音楽プロデューサー、アルビン・ノルドクビストさんらによるパフォーマンスも披露した。